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僕の朝は、だいたい7時半くらいから始まる。
起床したあとに口をゆすいで、それから母さんの作った朝ご飯を食べる。
食べ終わり次第食器を片付けて、歯を磨き、服を着替えて、学校へ一直線に向かう。
これが僕の朝の日常。小学一年生から続く、絶対的なものだ。
でも最近は、少しだけ変更点が出た。学校には一直線に向かわず、ある場所に寄り道するのだ。
「あ、剣城くんおーはー!」
「おー……はー?エリさんそれいつの時代の挨拶ですか?」
「通じない!山ちゃん発祥香取くん経由のこの挨拶が!!これぞジェネレーションギャップや!!」
そう、喫茶店ハデサだ。まぁ正確にはハデサの前を通るだけなのだけれども、基本僕が通る時間帯はエリさんが外を箒で掃いているので、ちょっと顔を見ることができるのである。
「はは、面白い人だ。じゃ、僕は行くので」
「さらっと流したねー、ほいほいいってらっしゃーい!あ、そうそう、地面にヒーローリングが転がってても、むやみやたらに拾わないでねー!目的があって私が置いているので!それと、もし万が一、落ちているヒーローリングが青くなってたら、すぐに私に連絡すること!」
エリさんを見て十分元気をもらったので、学校に少しだけテンションを上げていこうと思っていたところ、ちょっと引っかかることをエリさんが口にした。
「え?青くなると何かまずいんですか?」
「あー、うん。まずいっていうか、うん、まぁ、探してるものがあって……ほ、ほら、そろそろ学校行かないとまずいんじゃないかな?」
すっごくはぐらかされた。多分この様子だと話したくないことなのだろう。
この場はエリさんに従って、大人しく学校に向かうことにしよう。僕は空気の読めるタイプの高校生なのだ。
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