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「建石さん、まこちょこタンからメッセージのの返信がありました。連絡とれますよ」
「そうか」
建石はそれを聞くと早速まこちょこタンに電話をかけた。
「はい、そうですか。なるほど。分かりました。ありがとうございます。すぐ伺います」
建石は電話を切った。
「アポが取れた。大谷君、ありがとう。私はこれからすぐまこちょこタンにインタビューをしに行きます。大谷君はここに残って、まこちょこタンの過去の踊っている動画を送出用のテープに落とし込んでおいて下さい。やり方は技術のメンバーに訊きながらで構いません。頼みましたよ」
建石はうなずき、制作技術のフロアへと向かった。
「もしもし。お疲れ。その後進展はあったか?」
建石はまこちょこタンの元へ向かうタクシーの中で佐竹に電話をかけた。
「ああ。とりあえず、投票率が60パーセントを超えそうだ、ということは分かってきたよ。ただ、増加分のほとんどは無効票が占めているな。無効票、全国すべて合わせると1000万票を超えそうだぞ。あとな、どうもKENJIが今回の無効票を呼びかける書き込みをフェイスブックでしたらしい」
「そうなのか?」
KENJIは東京で活躍するアイドルグループ、typhoonのリーダーを務める。武道館ライブを複数回行った実績もあり、まさに人気急上昇中。なお、KENJIは会津若松市の出身である。
「もっともな、KENJIのオリジナルの書き込みではなさそうなんだよな。どうも、同じ地域出身のローカルアイドルの…」
「まこちょこタンか?」
「そうそう。そのまこちょこタンのツイートを見て、それを自身のフェイスブックで拡散したところ、東京で大反響になり、それが全国にあっという間に広がったようだ」
「なるほど…」
建石は首と肩でスマートフォンを固定しつつ、メモ帳にペンを走らせていく。
「しかしお前、よくまこちょこタンにたどり着いたな」
佐竹は電話口で驚きの声を上げた。
「ちょうど知り合いに居たんだよ。まこちょこタンを知っている人がな。助かった。ありがとう」
「礼は倍返しだからな」
「分かっている。今度東京に出向いたら飯でも奢る」
「覚えておくぞ。じゃあ健闘を祈る」
電話口の佐竹はそう言うと電話を切った。建石は窓の外を見る。どうもまこちょこタンとの待ち合わせ場所はこの辺りのようだ。
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