解を求めよ

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 雰囲気が違うから、いつになくに緊張してしまう。オレの知ってる充郎じゃないのが、居心地悪くてしょうがない。 「今日の証明、一緒に勉強しないか?」 「……図書館行く?」 「お前んちは? 今日は六限まであるんだろ? お前の好きなオムライス作って待っててやるからさ」 「お、おう」 「じゃあ鍵貸して」  慣れたやり取りに安堵しつつも、いつもなら部屋の散らかりっぷりなんかどうでもいいのに、今日は洗濯物が干しっぱなしなのが気になった。洒落たヤツに白ブリーフを見られるのは、そう嬉しいことじゃない。オレのパンツ事情なんかとっくにバレてる間柄だけれど、今日の充郎の目の前にぶら下げるのはなんか嫌だ。 「うん。留守番しといてくれ」 「了解」  戸惑いを押し隠して答えると、充郎は妙に眩しい笑顔でオレの手から鍵を受け取って行った。  その日の証明を復習し、次回の証明の予習をする。数学科のオレたちの毎日はこればかりだ。数学が好きだから苦にはならないし、誰かと議論し合いつつ勉強をするとすごくはかどる。充郎は気兼ねなく教え合えるうってつけの相手で、オレたちの相性は最高……なはずなんだけど。 「終わった~!」     
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