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オレより頭一つ以上背の高い充郎を見上げると、視線の先の頬が赤い。なんでだろうと思ううちに、充郎の赤面がうつってオレの顔も熱くなってしまった。
なんかヘンだ。でもなんでかが、よく分からない。
「オレから離れちまう気がしたから。モテモテのリア充チームに行っちゃうのかなって。そんなカッコしてたら彼女とかすぐできそうだし……」
「もしかして、寂しいとか思ってくれたの?」
「あたりまえだろ。親友のつもりなんだから」
俺にとっては嬉し恥ずかしの親友宣言が、充郎にはあんまり嬉しくなかったらしく困ったような顔をする。
「でも俺、決めたんだよね」
「何を?」
不安に胸が騒いだ。やっぱり鉄オタなオレと決別して、どっか行っちゃうんだろうか?
「お前のそばにはもういられない」
「なんでそんないじわるなこと言うんだよ」
つれない言葉に声が涙で潤む。見上げて睨み付けると、充郎は眉を下げ、男前が台無しの泣きそうな顔をしていた。
「俺だって離れたくない。だけどお前のそばに居続けるには、絶対的な条件が必要になるんだ」
「言ってみろよ。なんだって叶えてやる。充郎のためなら、カシオペアの展望室スイートだって取ってやるぞ。東京の全部の駅の窓口まわって申込みしまくれば、一つくらい当たるだろ」
「俺、お前が好きなんだ」
「は? オレだって好きだ」
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