14--再会

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「お願いだから。もうほっといて」 私はそう呟き、高木を残したまま出口に向かった。 「ナツキ……」 ミノリが花嫁らしかぬ心配した表情でやって来て、私に囁いた。 「大丈夫?」 さっきのやり取りを見ていたのかもしれない。今日の主役で、幸せ絶頂の友達に気をつかわせるなんて、何をやってるんだ私は。 「何よー。大丈夫。何でもないって」 にこっと笑顔を作る。 「でも」 「本当だってー。ちょっと頭痛してきちゃってさ。悪いんだけど、先に抜けさせてもらうね」 「それはいいけど。高木とは?」 「もういいの。私もミノリみたいに素敵な彼、見つけるから!」 明るく言って、ミノリの背中を押した。 「ほら、花嫁は笑って。旦那さん待ってるよ。本当におめでとう!」 「ん……。今度、またゆっくり」 ミノリはやっと、新郎の方に戻っていった。 店を出ると、澄んだ空気が身体に心地よかった。 早歩きで街を歩く。まだある未練を断ち切るために。 気づけば、駅近くの公園を横切っていた。高木がベンチに座らせてくれて介抱してくれた場所だった。 ひどく泣きたい気分だった。 いつもより高いヒールで、足がかなり痛む。それでも今足を止めたら、何かに追いつかれそうで。泣き出してしまいそうで。止まれなかった。 そのまま公園を抜けると、高木が住んでいたマンションが見えてきた。 もう限界。と思う。 足がなのか、気持ちがなのか、分からない。 灯りがともるマンションエントランスの前。 立ち止まって、クラッチバックから、社用携帯を取り出す。クリーム色の小鳥が、ゆらりと揺れた。 「ナツキ」 びくりと振り返ると、高木が立っていた。
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