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16--初めての会話
温かいシャワーを浴びながら考える。
高木は私をいつから好きなんだろう。
そもそも、高木と話すようになったのはいつからだったっけ。
全然思い出せなかった。気が付けば近くにいて、いつの間にか同期の中でも仲がいい存在になっていた。
最初にコンディショナーをつけて丁寧にとかした髪は、温かい湯にじょじょにほぐれていく。
私が高木を好きになったのは、研修に区切りがついたある休み、同期たちで遊びに行った日。
アミューズメント施設でいろいろなスポーツでチームに分かれて対決して。
ボーリングのとき、高木とペアを組んだ。
「おーナツキ!ナイスっ」
高木とハイタッチしたとき、なんだか胸の奥がぎゅっとした。
ーーなんだこれ。
そのときは、一瞬で違和感を忘れてしまった。
だけど、遊んだ後に飲み会に行って、頭が痛くなった私を面倒見よく介抱してくれて。
肩を貸してくれたとき、「ああ私はこの人にもっと触れていたいんだ」って気が付いた。
そのとき、私は高木のことが好きなんだと自覚した。
私はあれが高木を好きになった日だった。
高木は……いつなんだろう。
すっかり髪を洗い終わっても、検討もつかなかった。
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