16--初めての会話

1/3
前へ
/64ページ
次へ

16--初めての会話

温かいシャワーを浴びながら考える。 高木は私をいつから好きなんだろう。 そもそも、高木と話すようになったのはいつからだったっけ。 全然思い出せなかった。気が付けば近くにいて、いつの間にか同期の中でも仲がいい存在になっていた。 最初にコンディショナーをつけて丁寧にとかした髪は、温かい湯にじょじょにほぐれていく。 私が高木を好きになったのは、研修に区切りがついたある休み、同期たちで遊びに行った日。 アミューズメント施設でいろいろなスポーツでチームに分かれて対決して。 ボーリングのとき、高木とペアを組んだ。 「おーナツキ!ナイスっ」 高木とハイタッチしたとき、なんだか胸の奥がぎゅっとした。 ーーなんだこれ。 そのときは、一瞬で違和感を忘れてしまった。 だけど、遊んだ後に飲み会に行って、頭が痛くなった私を面倒見よく介抱してくれて。 肩を貸してくれたとき、「ああ私はこの人にもっと触れていたいんだ」って気が付いた。 そのとき、私は高木のことが好きなんだと自覚した。 私はあれが高木を好きになった日だった。 高木は……いつなんだろう。 すっかり髪を洗い終わっても、検討もつかなかった。
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!

502人が本棚に入れています
本棚に追加