天井の染み

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それでも、特に何事もないまま時が流れ、私もその染みに対しては偶然そう見えるだけの不気味なもの、くらいの認識に落ち着きかけていたのですが。 その後暫くして、幼馴染の父親が交通事故を起こして亡くなってしまいました。 山道を車で走っている最中に崖下へ転落したことによる単身事故、として警察は片付けましたが、何か不審な部分もあったようで自殺の可能性もあると大人たちの間では噂をされたりもしていた出来事でして、本当の真相は未だにわからないままとなっています。 ただ、この事故が起きて父親が亡くなったという話を聞いたとき、私の頭には真っ先にあの浮かび上がる染みが連想され、 “やっぱりあれは悪いものだったのかな” と、直感的に感じたりもしていました。 それから暫く経って、幼馴染は母親の実家へ引っ越し住んでいた家も今は取り壊されて無くなっています。 当時は知りませんでしたが、幼馴染の父親はいわゆる亭主関白で幼馴染や母親へ頻繁に暴言を吐いたり高圧的な態度を日常的に取っている、そういう人間だったと後に聞かされました。
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