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 どう見ても倉庫の類だ。これはもしかしてリストラ部屋という奴だろうか。しかし契約更新間際の契約社員にそんな手間を掛ける意味もなさそうなものだ。  女性はかわいらしい外見とは裏腹に、ガンガンと拳を扉に叩き付けた。 「いらっしゃいますか? 海野さんお連れしました!」  コンクリートが剥き出しになっている狭い廊下に、張り上げた声が響く。そんな叫ばなくても、と思っている内に、扉が内側に開いた。 「うるせえよ、何蹴ってんだ」  姿を見せるなり文句を告げたのは、例の馬鹿息子だった。ぎょっとして逃げ腰になる直冬を逃さず、女性社員が強引に肩を押してくる。 「これ、海野さんです。では私はこれで」  女性は儀礼的に頭を下げるなり身を翻し、走って去って行ってしまう。呆然と見送っていた直冬は、男がじろじろと目を向けてきていることに気付いて一歩脚を退いた。 「どういったご用件でしょうか……」 「まあ入れ。遠いのに呼びつけて悪かったな」  男が踵を返すと、重い扉が閉まり始める。放っておくわけにもいかず、直冬は身を滑り込ませた。  中はやはり倉庫だったのだろうと思われる作りだった。半地下ほどの高さに位置しているようで、天井近くに窓が並んでいる。壁も床も廊下と同じくコンクリートで、男の足音が鋭く反響した。思ったより広くないが、奥に扉があるのでこの先にもスペースがあるようだ。     
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