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「……あのね。もしまた上手くいかないことがあっても、ひとりで飲むなよ」
「おまえみたいなお人好しはそうそういない」
「俺は別にお人好しじゃない。君が明らかに下心持ってるオヤジに連れて行かれそうだったのに、吉村ってやつは君を置いて行ったんだ。目の前でそんなことされたら、さすがに放っておけない。それだけだ」
「色々迷惑掛けて、悪かったな」
「そういう話じゃなくて」
盛大なため息を吐いた真上が、穂高に向き直る。
大きな手に前髪を掬われ、額をあらわにされた。
「そんな寂しそうな顔してたら駄目だ。その気じゃなくてもその気にさせてしまう」
「寂しいわけじゃない」
「君、家柄がいいって話をしてただろ。子供じゃないんだから慎重になりなよ」
真上が前髪を掻き上げているせいで眩しいし、喉も渇いた。話すなら戻ろうというつもりで、穂高は彼の腕を掴み踵を返す。
ベッドの前まで来たので、彼を離して腰を下ろした。──途端、ため息と共に肩を押され、穂高は背中からベッドに転がる。
何なんだ、とは思ったが、真上の頭が照明を遮ってくれる格好になったので文句は言わずにおいた。
しかし彼はますます顔をしかめる。
「誘ってるわけじゃないんだよね?」
「ゲイなのか?」
「違う」
「俺も違う。問題ないな」

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