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巨大モニターの中央に金属製の丸い“ふた”が映されている。原子力発電所の中核施設となる原子炉格納容器内の圧力容器の“ふた”だ。
圧力容器とはいっても、2011年3月にメルトダウンを起こして底に穴の開いたそれは、内部の圧力も外部と同じだ。
遠隔操作のクレーンのアームが金属の“ふた”を移動させる。
“ふた”のどいた圧力容器内に明かりが照射され、モニターに井戸のような穴と、そこに溜まった透明の水が映し出された。
透明な水は光をキラキラと反射して清浄に見えるが、放射性物質の混じった危険なものだ。
画面が切り替わる。
圧力容器の穴から離れたところにあるカメラは、格納容器の上部5メートルの位置に設置されたレールと、それに吊り下げられた直径4メートル、厚み3メートルほどの円柱状のロボットを映した。
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