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「ヒトデには見えませんね」
テレビ局の記者が訪ねると、廃炉システム開発機構の岩城翔太理事長が「いやいや」といって笑った。
「あなたは日輪ヒトデを知っていますか?」
岩城はスマホで日輪ヒトデの写真を見せる。
「なるほど。普通のヒトデに比べたら胴の部分が丸くて大きいですね。まさに日輪ですね」
記者の感想に満足しながら、岩城は説明を加える。
「3号機の圧力容器内の内径は5.6メートルだからロボットが伸ばした足の長さは0.8メートルにすぎず、足の長いヒトデには見えませんが、この脚は容器の大きさに応じて伸縮するのです。最大11メートルの容器に対応しております。大きな圧力容器内で作業をすれば、もう少し本物の日輪ヒトデに似て見えるでしょう」
「資料によると、2号基、4号機のサイズは同じ。1号機に至っては、内径4.8メートルと小ぶりです。最大11メートルの容器に対応する必要があったのでしょうか?」
記者は、巨大な圧力容器を持つ原子炉の事故を想定しているのだと疑っていた。
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