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「ご存じのとおり、原子炉は核燃料の入った圧力容器と、圧力容器を外側から支え包んでいる格納容器の二重構造になっているのです。今、取り出しているのは圧力容器内デブリですが、これが終わったら、圧力容器を解体撤去。その後に、圧力容器を突き抜けて落ちた格納容器の底のデブリ回収作業があります」
岩城は原子炉の模型を指して説明する。
「3号機の格納容器の上部内径は11メートル。下部の球体部分は20メートル。球体部分に下りてからは8本の脚で自立する形になります。そのためのスターフィッシュの脚です。……加えて原発の解体事業は、今後、日本の成長産業になるでしょう。そのための汎用性とご理解いただきたい」
岩城は国民が安心する話し方を心得ていた。科学を臭わせる数値を交えて安全を解き、経済性を理由に明るい未来を語るのだ。
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