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「峰石ぃ…俺がメールに気付かなかったらどうするつもりだったんだよ…」  道場裏にあるコンクリートの階段に腰を掛けて待っていた誉を見つけ、加藤は心底呆れたように言葉を吐いた。 「でも、気付いてくれたし」 「気付いてくれた、じゃねーよバカ。練習中見れる方が稀なんだよ。剣道部舐めてんのか。世間知らずが」  加藤に軽く頭をはたかれて、怒られているのに嬉しくなってしまう。頭を擦りながら素直にごめんと謝れば、何かあったのかと問われた。それには笑って曖昧に流し、本題を切り出す。 「ごめんついでにお願いがあるんだけど」 「ああ、もう、この際なんでも言っとけ」  腕組みながら至極面倒臭そうに加藤が言い放つ。  申し訳ないなと思いつつ、誉は特別室に置いてある荷物を取ってきてほしいことを告げると、加藤は目を瞬いて驚き、しばらく固まってしまった。 「ちょっと色々あって取りに行けなくて…」  続けてそう言えば、大きな溜め息と共に了解してくれた。 「とりあえず外じゃ冷えるから、部活が終わるまで部室で待ってろ」  加藤は気持ちを切り替えたのか、剣道部主将然としたきりっとした顔で誉を部室へ促す。 「部外者が入っていいの?」 「いいわけねーだろ」     
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