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 もう少し他の言いようがなかったのかと、誉はがっくり肩を落とす。 「野良猫だろ。半年以上懐かなかったのに気まぐれに懐に飛び込んできたりするし」  いつからそこにいたのか加藤はしれっとそう答えると、誉を取り囲む部員たちを手を振って追いやった。 (やっぱりこんなこと頼んじゃまずかったのかな)  連絡先を交換したくらいで頼るのは間違っていたのかもしれない。人間関係に不慣れなので匙加減が分からず、迷惑だったのだろう。  とたんに加藤に申し訳なくなり、ここに居るのがいたたまれなくなってきた。  項垂れていると部員たちが口々に加藤を責め始める。 「ほらー部長がいじめるからー」 「そうっすよ! 可哀想じゃないすか」 「確かに。今のは加藤が悪いよな」 「だよなー。俺にはそんなこと言えねぇわ」 「はいはい俺が悪い。全部悪い。じゃ、戸締まりよろしくな」  加藤は着替えを手早く済ませ、部員の野次をいなして誉の肘を掴んで立たせると、部室を後にした。 「なんか、色々ごめん…」  部員から口々に責められる加藤を庇うこともできず、おろおろと後を付いて行く。加藤は振り返り、これ見よがしな溜め息を吐いた。 「おまえがそんな態度だから俺がイジられるんだろうが」 「それはもう何て言えばいいのか…」     
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