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「誉クンはあの頃より少し、格好良くなったね」  しみじみと過去を懐かしむように、薄ら微笑む。坂上の目には今の誉と昔の誉が並んで見えているかのようだ。 「遥夏はキミがとても大事な弟であり、ライバルだと思っているんだ」 「…え?」  我が耳を疑うほど聞き慣れない単語が坂上の口から飛び出して、動揺する。  大事かどうかは別として、弟であることは事実だ。問題はライバルという言葉だ。 (遥夏が俺をライバル視?)  ありえない。むしろ見下されている。ヒールを履いたら物理的にも見下されていた。  まったく意味が分からず、怪訝な顔で坂上を窺えば大きく吹き出されてしまった。 「そういう顔はやっぱり似てるね」 「そういう顔?」  益々怪訝顔で問えば、手を伸ばし誉の眉間の皺を伸ばすように押さえた。 「遥夏も納得がいかないことを言われると、同じ顔になるよ」 「…はあ」  誉も納得がいかないが、第三者が言うのならそうなのだろうと渋々受け入れる。 「今まで嫌な目に合わせてごめん」  唐突に謝られ、咄嗟に何の反応も返せない。 「最初に〝妹〟だと紹介されたときから、遥夏の企みには薄々気付いてたんだ」 「え! それじゃあなんであんな…」     
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