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「現に、あの雨の日はタイミング良く助けが入ったと思わない? …どこかで見てたんじゃないかな」 「…え?」 「遥夏に揺さぶりかけるなら誉クンだって知ってる人間が、それを最大限に使わない手はない。〝誉の姉〟でも〝誉のライバル〟でもない遥夏を引き摺りだすには、これしかなかったんだ」 「なんだよ、それ……ゲスい」  誉は坂上の一連の行動の理由に、動揺して敬語も忘れ身も蓋もなく詰った。本気で恐怖に戦いていたのに、ただ利用されていただけだと分かり、安堵と怒りで消化不良を起こしそうになる。  巻き込んだことは反省してる、と坂上は殊勝に頭を下げた。美人局をさせられていたときも、誉が本気で拒否を示すと率直に反省を述べていた。  こんな形で関わらなければ良かったのに、と思う。また、こんな形で関わったから知ったこと、気付いたこともある。  遥夏はどんな気持ちで誉を助ける画策をしたのだろう。 「遥夏は君に無謀なことをさせるのに、君は君で遥夏の話に乗って。まるで…君たちは、共犯者みたいだね」 「ちがいます、遥夏は…」  それ以上言葉が続かなかった。否定しようにも否定出来る根拠もなかったから。  共犯者にしたのか、されたのか。     
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