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 誉は苛立つ心を極力抑えて「もういいから」と言って立ち去ろうするが、彼に腕を掴まれて行くに行けなくなる。するとそこへ、話を聞きつけた目撃者たちがちらほら集まってきた。皆それぞれあいつだと指差し、どういう状況でぶつかったかを説明していた。 「…ああ、あいつらか。助かった。サンキュ。──おい、いくぞ」  彼は皆に軽く手を振ってやり過ごし、誉に向き直ると肩を掴んで後半声を落として言った。 「な、なんで」  「いいから来い。どーせ学校行くんだろうが。お前が居ねーと話になんねーんだよ」 「え?ちょっ…!」  誉の戸惑いも無視し、彼は一人言い捨てて先にある校門へ走って行った。 (ものすごく嫌な予感がするんだけど…)  さっきまで寒さで身体が縮こまっていたのに、そんなものはどこかへ吹き飛んでいた。  何をするつもりか分からないけど、何かしでかそうとしていることは分かる。  誉は取りあえずあの男を止めなければと、慌てて彼を追いかけて行くことにした。  しかしそれも唐突に終わる。  我が目を疑い、誉は呆然とその場に立ち尽くしてしまった。     
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