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「おまえさ、さっきやっとスマホの電源入れてたけど、その間電話してたのは俺だけじゃなくて、おまえの姉さんもだからな」 「…ほんとだ」  慌ててスマホのSNSを確認すると、遥夏からメッセージが入っていた。どこに居るのか連絡しろとある。 「姉さん、おまえの電話が繋がらなくて、うちの店経由で俺と連絡取ってきたんだよ。たぶん前に俺がおまえと同じクラスだって端折って言ったから。〝弟を知らないか〟って言われてさ」  すげー驚いたけどな、と何でもなさそうな顔で久住は言う。  久住との距離の縮まり方を、遥夏が全部裏でお膳立てしたことだと思っていたから、戸惑い、そして安堵する。  自分の早とちりで、本当に良かったと思う。久住の優しさが作られたものじゃなくて良かった。  そしてじわじわと、感覚が数時間前に引き戻されていく。  あの手で体を暴かれた。  あの身体を重ね合わせた。  酷く、熱かった。  隣にいる久住が、誉を抱いた同一人物とは思えないほど今は穏やかな表情をしている。  どうして、とまた疑問が浮かび上がる。  誉のことを怒っていたのではないのか。遥夏に頼まれたわけでもないのに、必死になって追いかけて。 (自惚れてもいいのかな)  今までの久住の行動は、好意からくる行為だったと、思ってもいいのだろうか。     
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