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     10  二人とも照れからか、ぎくしゃくしながら久住に家の前まで送ってもらい、また明日、と別れた。  玄関扉を開ける前にひとつ大きく息を吐いて、勢いよく開ける。 「ただいま」 「…おかえり」 「うわあああああ!」  まさか玄関の靴箱に背中を預けるように座り込んでいる遥夏が居るとは思わず、驚いて飛び退る。 「大声出さないで、うるさい」  リビングの方から母から苦情が飛ぶ。 「だって姉ちゃんがビビらすし!」  上がり框で靴を脱ぎながら母に向けて答えると、すかさず遥夏がスリッパを投げつけた。 「いてっ!」 「ちょっと私の部屋に来な」  言うだけ言うと、先に二階にある遥夏の自室へと階段を上がり始めた。誉も黙ってついて上がる。 「あんた連絡くらいしなさいよ」  遥夏の自室の扉を閉めた途端、不機嫌な声が背中にかかる。言い訳でもしようかと思い振り返れば、遥夏は青い顔でベッドに腰掛けていた。 「電源切れてるお決まりのアナウンスを、私が何十回聞いたと思ってんの?」  下から怨念の籠った目つきで睨まれ、誉は反射的に謝った。 「ごめん。気が付くのが遅かったんだ。でも家の近くだったから早く帰ろうと思って…」     
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