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     2  ホームルームが終わると、誉は担任の山下に手招きで呼ばれ、そのまま廊下に促された。  今朝の出来事がもう伝わったのか、と内心ハラハラしながら担任の後を付いて行く。だが山下はなかなか切り出そうとしなかった。その様子で事態は深刻なのだと悟り、またもや誉は血の気が失せていくのを感じた。 (どうしよう…。あいつをけしかけたわけじゃないけど、やっぱりこれって幇助とかそんな感じなのか?それともあることないこと言ったのか? ていうかあいつ何であんなことしたんだよ。意味分かんねえ。こんなんで謹慎とかだったらもう…最悪だ)  考えれば考えるほど悪い事しか想像できなくて、その場にへたり込みそうになる。  そんな誉の思いを知ってか知らずか、山下は意を決したように口を開いた。 「峰石。だいたい察しているとは思うが」  そう言って一呼吸置き、誉を見据える。 「今日から三週間〝特別室〟で授業を受けてもらう」 「…特別室?」  特別室という聞き慣れない言葉に、ぽかんと間抜け面を晒してしまう。重い処罰を想像していたため、想定外な単語に身体が上手く機能しなくなった。 「何だ、峰石は知らないのか」     
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