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 恐る恐る小首を傾げて覗き込むように見上げると、反対に久住は仰け反るように一歩後ろに引いた。  しばしお互い見つめ合っていたが、久住は観念したように目を逸らすと、大きな溜め息と共に後悔を吐き出した。 「やっぱおまえ、眼鏡必須な」  ぼやく久住のその横顔はほんのり赤い。思わず目を見開いて見てしまう。  不覚にも久住を可愛く感じた。怒れば怖いし、見た目も厳ついそんな相手にときめいた。 「しょーがないなあ」  誉はおもむろに鞄から眼鏡ケースを取り出し、スペアの眼鏡を掛けた。不思議な庇護欲にかられ、ネタばらしをしてしまう。 「持ってんのかよ」  呆れ気味に突っ込まれ、照れ笑いする。  もう必要ないものだとしても、御守り代わりに持ち歩くにはいいだろうと鞄に入れたままにしていた。  頼ることはもうしない。  ただ、その存在を忘れたくないだけだ。  孤独を感じていたあの頃の自分を。  誉はそっと眼鏡を外し、胸ポケットに引っ掛けた。 「なんだ。もう掛けねーのか?」 「やっぱり決めたことだしね。それに…」 「それに?」 「久住の照れた顔ってレアだし」 「うるせえ」  真顔で告げると久住は誉の頬を片手で挟んで潰す。よほど不細工だったのか誉のつぶれた顔を見て吹き出した。久住は手を離すとさっさと先に歩き出した。     
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