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 呆れ顔の山下に、誉は黙って頷いた。 「まあ、俺もその存在すら忘れてたんだけどな」  と言って山下は笑う。が、すぐに表情を戻して説明し始める。 「特別室は、元は教職員用の多目的室として色々な用途で使われていたんだ。校舎から少し離れた別棟の三階にあるんだけど、知ってるか?」  そう問いかけたものの、山下は答えを求めている訳ではなく、話を先に進める。 「まあ、場所が場所だから、便利が悪くて、ここ数年はまったく使ってなかったみたいだけど…。そこで、かどうかは分からんが、目を付けたのが学年主任の塚本先生でな。塚本先生は毎年学年に一人二人は居る、峰石みたいな困った生徒を放っておけなくて。謹慎や停学まではいかない、俺からしても正直一番手を焼く生徒だな。…俺の話は置いといて。塚本先生は彼らに何のペナルティもないのは他の生徒に示しがつかないし、大事になる前に食い止めて、無事に卒業して欲しいという思いから使用に至ったそうだ。──まあ、要約すると、処分を受ける前段階の生徒の反省室みたいなもんだ」 「はあ…」     
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