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(つまり…)
恋愛どころか人付き合いにもあまり縁のなかった誉でさえ、久住の言わんとしているその感情が伝わってくる。
じわじわとのぼせるような熱が体をめぐり、気がつけば誉の顔は抑えきれない赤で染まっていた。
「つまり、ただの独占欲。カッコ悪いよな」
俯き加減で自嘲気味に笑う久住にいてもたってもいられず、誉は腰を浮かし、両腕を伸ばして無理やり自分の方へ顔を向けさせた。
「俺の顔、今めちゃくちゃ赤いと思うんだけど、その独占欲が嬉しいの、分かってくれる…?」
久住の父親も居るところで、顔を赤らめ、ものすごく恥ずかしい真似をしている自覚はあったが、頭で考えるよりも先に体が動いていた。
久住とはお互い気持ちが通じ合ってまだ間もないせいもあるけど、一つ一つ歩み寄るべきことや、答え合わせをしていかないといけないことがたくさんある。だから些細なことで行き違い、辛い思いをしたくないしさせたくなかった。そんなことになるくらいなら、誉が恥をかくくらい何てことはないのだ。
「すげー…、分かる」
呆気にとられ、一瞬ぽかんとした久住だったが、言葉を吐き出しながらゆっくりと破顔していった。
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