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   *** 「美味しかったです。ごちそうさまでした」  店内が客で混み合う前に誉は席を立ち、調理場の久住の父に頭を下げた。 「どういたしまして。誉くん、またおいでね」 「はい。次からはちゃんとお金払いますので…」 「ああ、別にそんなこと気にしなくていいから。啓太にこんな可愛らしい…って言うと失礼か。ちゃんと友達がいるってことに、おじさんは嬉しいよ」  久住の父は目尻にシワをため、喜びを顔に滲ませていた。いつか久住もこんな風に笑うのだろうか、とまだ見ぬ未来を想像する。あまり見たこのないレアな表情だが、親子なのでやはり似ている。未来の久住がここにいるようでどうにも落ち着かない。 「俺、こいつ送ってくから。あとよろしく」  店のロングエプロンを外しながらこちらへやって来た久住は、久住父に了承の返事をもらい誉を外へ促す。 「え? いいよ! 大丈夫だから。一人で帰るって」  バイトを中断して送ろうとする久住に驚いて突っ撥ねるが、力では敵わず、店の外へ押し出された。途端に久住はこれ見よがしにため息を吐く。 「また変なのに絡まれるぞ」 「か、絡まれないし…」 「だめだ。親父だってお前のこと可愛いとか言ってたから危ねえだろ」     
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