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「峰石…俺の妹だからって甘やかすんじゃねえぞ?」
右手には頬を引きつらせながらも怒りを抑えている兄、左手にはそんな兄を面白がって誉に変なあだ名を付ける妹。二人を見遣り、とてつもなく脱力感に襲われながらも誉はこう答えた。
「じゃあ俺、久住のこと啓太って呼ぶし誉って呼んで? 真由ちゃんは、とりあえず君付けにしてくれると嬉しいな」
とどめとばかりに、培われた撮影用笑顔を貼り付けて諭すように言えば、兄妹揃って固まってしまう。
(別に変なこと言ってないよな?)
クエスチョンマークを浮かべて首を傾げると、真由は大きなため息を吐いた。
「長めの前髪くらいじゃ、ほまりんの可愛さは隠しきれてない。いっそ顔全部出して兄貴がボディーガードした方が安全じゃない? 私のほまりんに何かあったら困るし」
「いやだから、君付けを…」
「あ? いつからおまえのになったんだよ」
「そんなの会った瞬間からに決まってるじゃん」
「図々しい女は嫌われるぞ」
「そんなのほまりんに聞いてみなきゃわかんないでしょ」
「またほまりんって言ってるし…」
「聞かなくてもわかる。そもそもこいつは恋人がいるんだよ」
「はあ? そんなの奪うに決まってんじゃん。結婚してるわけでもないのに」
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