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「真由、いい加減にしろよ。怒るぞ」
「いい加減にするのは兄貴の方じゃん! なんでほまりんはダメなのよ!」
「あ、久住、じゃなかった啓太! もうそれくらいに…」
「なんでもクソもあるか。さっさと店手伝いに行け」
「やだ。ほまりん私のこと嫌い?」
真由は誉の腕に自らの腕を絡ませながら下から覗き込むように伺ってくる。
久住と出会う前なら可愛いな、と思ったかもしれない。実際真由の容姿は可愛い。男が放っておかないだろう。
だけどそうじゃない。
たとえ真由と先に出会っていたとしても、惹かれるのは、心が求めるのはやっぱり久住だったと思う。
「嫌いじゃないよ。でも、妹がいたらこんな感じかなって思った」
ふふっと笑って真由の頭を撫でる。
「それに俺、今すごく好きな人がいるから」
ごめんね、と言うと、真由はしぶしぶ誉の腕から離れた。
「じゃあ、その人に飽きたら好きになってくれる?」
食い下がる真由に驚きつつも、そうだなあと腕組みして久住を見上げ、また真由へと視線を戻した。
「惹かれて、どうしようもなく求めて、苦しくなって、でも幸せで。──そんな風になったら、間違えようもなく好きだよね」
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