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 てっきり伝わっているだろうと思っていた言葉はまったく伝わっておらず、あろうことか誉の心変わりを疑われてしまった。 (あの緊張感はなんだったんだ)  やるせなさに打ちひしがれそうになるが、誤解されたままでは困る。  顔を上げ、姿勢を正して久住を見据える。 「変に誤解させたのはごめん。でも、俺が好きなのは…啓太だから」 「…うん」 「そっちこそ、俺でいいの?」  誉が控えめにそう問えば、久住は少し思案して口を開いた。 「正直、初めは自分の気持ちに戸惑った。そんなはずねーだろって思ったし。でも、おまえと接して行くうちに、抗えなくなって…、誰にも渡したくないって思ってたら加藤が…」  そこまで言うと、久住はテーブルに額をつけそうなほど頭を下げた。 「とりあえず殴ってくれ」 「なんで?! 意味がわからないから!」  久住は唐突に頭を下げたかと思えば深刻な口調で誉に殴れと請う。男の誉を恋人にしていいのか、という話だったはずなのに、まったく理解が追いつかない。兎に角断固拒否である。 「くだらない嫉妬でおまえの気持ちも考えず酷いことしたんだ。俺も同じくらい痛い思いしないとダメだろ。けじめだ」 「脳筋思考やめて」 「じゃあ俺は! …おまえに手を出さないようにする…」     
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