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「保健室で休んでた日、迎えに行ったら誰もいなくて、戻る途中、加藤がおまえに絡みついてるのを見て…」 「絡みっ?!」  誉が久住の言葉で順を追って思い出していると、おかしな言われ方に素っ頓狂な声を上げた。 「それ見たら俺はもう、限界で」 「そ、それでも! あの…、空き教室でのことは、俺にとっては許せないこととかではなくて、自分で望んでしたことだから…」  無理やり久住の話を遮って、誉はその時の胸のうちを晒した。話していくに従って尻すぼみになり、じわじわと顔に熱が集まるのが分かるが、言わずにはいられなかった。  どんなに恥ずかしくても久住の優しさに胡座をかいて、誉だって当事者なのに責任を丸投げしたくはない。久住との今後の付き合い方にも影響を及ぼしそうなのも嫌だった。それにあの状況は、誉に逃げ道を残していたのだ。それを受け入れなかったのは誉自身である。 「気がついたら啓太を好きになってて、寝ても覚めても啓太のことばかりだったんだ」 「それなら尚更っ!」  声を上げるなり久住は、ローテーブルを押しどけ誉ににじり寄った。二人の間に隔てるものがなくなって、一気に熱量が増す。誉の背中側には久住のベッドがあり、今更ながら二人きりという状況を意識した。     
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