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「本当にいいのか?」
二人してベッドの上に座り、誉の頬を両手で包んで目線を合わせ、久住は何度目かの確認をした。
「そんなに聞かれると自信なくすんだけど…」
眉を下げて誉がそんなことを言えば、「やっぱり今日じゃなくても」と久住は両手とともに引き下がろうとする。慌てて誉はその手が離れないようにがっちり掴んで、自分の頬に押し当てた。
「違うよ。何度も聞かれるから、実は嫌なのかなって思ったんだよ」
ため息混じりに自分の吐いた言葉を正せば、ようやく久住はほっと力を抜いた。
「嫌なわけあるかよ。したいに決まってるだろ。でも、…誉に無理させてまでしたくない」
まっすぐに、真摯な態度を向けられ、誉は照れて目を合わせられなくなる。これからしようとしていることで心臓が大きく音を立てているのに、これ以上心臓に負荷をかけてしまうと倒れてしまいそうだ。
「女の子じゃないんだから、そこまで…」
「バカ、好きだからだよ」
「…っ!」
とどめを刺す台詞にたまらず俯けようとした顔をぐい、と無理矢理引き戻される。逃げ場を失って正面を見れば、優しく笑う久住が目に飛び込んできて誉の心臓をきゅうと甘く疼かせた。
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