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「…その顔は反則だぁ」 「は? おっ…と」  久住の胸に飛び込んで、腕を背中に回してしがみつく。顔面崩壊しそうなほど照れと嬉しさが入りまじり、誉なりに最大限に好きだという気持ちを表した。 「俺、啓太のこと好きすぎて死ぬかも」  久住の胸に頬をすり寄せ、甘えるように言えば、鮮やかな手捌きで誉を反転させてベッドへ押し倒した。 「おまえ、俺のこと煽ってんの?」 「あ、煽ってないし! むしろ啓太が煽ってるし!」  真上から見下ろされ、誉の心臓の音は漏れ聞こえそうなほど打ち鳴らしている。慌てて否定するが、久住は片手を誉の頬を撫でていき、ふうんと聞いているのかいないのか分からない態度だ。 「ふふ…。くすぐったいよ」  ゆっくり頬から首筋を辿る指先は、ただ誉をあやすようでいてその実、明確な意図を持って動いていた。  指先が鎖骨のあたりに辿り着くと、ネクタイに指を引っ掛けて緩めていく。どきどきと胸を叩く心音が伝わっているのではないかと思うくらい、久住もまた緊張した面持ちで誉を見つめている。するりと指を引き抜いて、解けたネクタイをそのままに、シャツのボタンを外す手は慎重に、丁寧に、誉を怯えさせないようにしていた。     
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