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前回の反省がひしひしと伝わる優しさに、無性に久住が愛おしくなる。壊れ物ののように触れる指はじれったいと感じるほどだけど、大事にされている、好きだからなのだと思うと胸が満たされる。
ボタンを全て外されシャツをズボンから引き抜かれると、誉の肌より少し冷たい手のひらで肌をそっと撫でられた。冷たさに驚いて少し体を竦めると、久住は体を倒してお互いの鼻先を擦り合わせ啄ばむようなキスを繰り返す。頬に、まぶたに、唇に、おでこに、言葉よりも雄弁に怖くない、と語りかけてくる。
「何も…、何も怖くないよ、俺。少し驚いただけ。……だから、もっと好きにしていいよ」
「…っ!」
俺も好きにするから、と言い逃げのように言って、誉は顔を真っ赤にしながら久住のシャツのボタンに手をかける。緊張で震える指を叱咤しながら一つ一つボタンを外し、全部外し終える頃には久住に話しかける余裕もできた。
「啓太の肌、気持ちいい…」
久住と初めて繋がった時は、こんな風に触れ合えるとさえ思っていなかったから感慨深い。
確かめるように撫でるうちに、羞恥心を凌駕するほどの独占欲が心を占める。
誉は撫でていた手を滑らせて、あらわになったお互いの肌と肌を触れ合わせるように久住を引き寄せた。
これは誉のものだ、と心が訴えている。
「この肌も、髪も、全部……全部俺のもの」
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