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誉の怒鳴り声を下着をぶつけられたまま聞いていた久住は、下着を投げ返して俯いて額を押さえた。
「…あのな、おまえがパンツ履かねーとムラムラすんだろーが」
「……ムラムラ? …幻滅でなく?」
「そう、ムラムラ。目のやり場に困るから早く履け」
「あ……はい」
すぐさま下着を履き、心の中で猛省する。誉の曲解の思い込みで修羅場になるところだった。実際には修羅場ではなく呆れられたのだろうけど、居た堪れず床に降りて正座した。
「えっと、ごめんなさい…?」
「なんで疑問系なんだよ」
「じゃあ、ごめんなさい」
「じゃあ、付けんな。隣座れよ」
「はい、お邪魔します」
神妙な面持ちでそう言って久住の隣に正座する誉を見て、苦笑いして引き寄せる。
「大人しいのかと思ったら大胆だし、いい子ちゃんかと思ったら振り回すし。…飽きないわ。すげー好き」
「俺もすごい好き。何度も何度も思ったよ、啓太を好きになってよかったって」
額をくっつけて、くすくす笑いながら囁きあう。二人きりの室内で誰も聞く人はいないのに、誰にも聞かれたくない。
(だって、もったいないじゃん?)
性的な意味のない啄ばむだけのキスを繰り返し、心が満たされる。
「あ、えろいことするとき以外、俺のこと名前で呼ぶの禁止な」
「なんで!?」
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