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 誉は職員室の隣の教職員用のトイレの中から外の様子を窺い、二人が去って行くのを確認してから塚本のところへ赴いた。すると不思議そうな顔をして塚本が待っていた。 「峰石、さっきまで職員室に居ただろう。何で出て行ったんだ?」 「えっ! えー…? ちょっとお腹が痛くてトイレに…」  苦し紛れの言い訳である。 「そうか。まあ、それはいい。ここに呼ばれた理由は聞いたか?」 「あー…はい。一応」 「なんだ、一応とは。峰石が『目に余るアルバイト』をしているから呼ばれたんだぞ」  嘆息まじりに問われ、さらにどうしたものかと焦る。 「あるようなないような…」  と、誉はごにょごにょと尻蕾みに答えて誤摩化した。  アルバイトのことはもうバレているので否定はできないが、その内容をどこまで掴まれているのか分からないからそう答えるしかできない。  塚本はそんな誉の様子をじっと見つめ、静かに溜め息を吐いた。 「分かってると思うが、この学校にもルールはある。他校に比べたら校則はそんなに厳しくないのは、最低限のルールを守る約束のもと成り立ってるんだ。その最低限のこと、つまり今回の峰石は出席日数と単位だな、それが限度を超えている。アルバイト自体は自由だが、学生の本分は学業であることを弁え、今までの自己を省みるように」  そこまで言うと塚本は、おもむろに机の引き出しから一枚の紙片を差し出した。     
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