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涼しげな目元に筋の通った鼻、口角の上がった薄い唇の横には小さな黒子がある。さららさのストレートの髪は色素が薄いのか日本人にしては若干茶色い。背は座っているから分からないが誉と同じくらいか少し高いと思われる。
すっきりと整った顔なので黙っていると冷たそうな印象なのに、外見に反して愛嬌の良さがそれをカバーしてるようだ。久住が野獣系だとしたら高瀬は王子様系だろうか。何にしても、どう頑張っても男性的な外見からほど遠い誉からしてみれば羨ましい限りである。
(というか、ムサくてもいいから男らしい外見になりたい)
そう心の中でぼやきながら、
「…峰石です」
誉はそれだけ言って持って来た手荷物を長机に並べ始めた。
「あれ? もしかしてご機嫌斜め? まあ、こんなところに来て喜んでる奴なんていないかー。ボクなんて四度目だからもう慣れちゃったよ。むしろここの方が居心地が良いしね」
高瀬は好き勝手喋って「あはは」と能天気に笑いながら前に向き直った。
するとそこへ職員室で会ったばかりの塚本がやって来た。
「とりあえず一時間目は半分終わったから、残りの時間で反省文を書くように」
一人ずつ作文用紙を配り、それから、と付けくわえる。
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