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 なかばなし崩しのように始めたことなので、どうしても手を抜けるところはしっかり手を抜いていきたい、そう思うのも致し方ないことだろう。  社長室の前で誉は、ひとつ息を吐いて扉をノックした。  こんこんと響いた音に何も返答が返って来ず、どうしたものかとしばらくぼんやりと立ち尽くす。気を取り直して腕を上げたところで背後から声をかけられた。 「アンタ何してんの?」  高圧的な物言いに、振り返らなくても分かるその声の主は遥夏だった。  タイミングの悪さに舌打ちしそうになった誉は、悪態を押しとどめながら振り返る。 「姉ちゃんこそ何してんだよ。今日は仕事入ってないとか言ってなかった?」 「マイが風邪引いて寝込んでるから代打。で、アンタは社長室に何の用があんの?」  遥夏は胸の前で腕を組み、仁王立ちしている。誉に面識はないが、内容からしてマイというのは遥夏のモデル仲間なようだ。  手短に自分の状況を説明しつつも、なおも誉に訊いてくるのは、ペーペーのお前が社長に何の用があるんだ、と言いたいのだろう。むしろでかでかと顔に描いてある。     
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