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久住の自宅は、彼がアルバイトをしている店から十数メートルほどの距離の高層マンションの一室にあった。ちょうど先ほどトラブっていた裏通りの目と鼻の先でもある。
あのアルバイト先を選んだのは距離的な理由だろうかと思い、何の気はなしに訊くと、肯定とともに父親の経営している店だと返ってきて、誉は驚きで目を瞬いた。
あのアルバイトは家業を手伝っていたのか、と妙な感慨がわいてくる。会社員の父親をもつ誉には分からないが、自営業の親の仕事の手伝いをするのは単純にえらいと思った。
久住は見るからに厳つく、お世辞にも素行が良いようには見えない。親の仕事の手伝いや誉を助けたりと、ギャップの激しさに戸惑うのが本音だ。しかし現実に誉も助けられたのだから噂ほど悪い人間ではないのだろう。
人は見かけによらないのだな、と誉は久住をこっそり見つめながら微笑んだ。
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