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「峰石くん、大丈夫? 先生の声聞こえますか?」  三人三様に声をかけられ、誉は答えなければと閉じていた瞼をゆっくり開ける。 「だいじょう…」  大丈夫と言おうと口を開いてそのまますっと意識が遠のく。 「…ではないよねえ」  高瀬の妙に間延びした声を最後に、誉は意識を手放した。  ゆらゆらと揺れる温かいものに抱かれながら安心していると、急にその温かいものを取り上げられ心細くなった。  誉は思わず手に触れた何かをぎゅっと握り、離れたくないと無言の訴えをする。一瞬離れて行こうとするそれが戻ってきた感覚はあったが、すぐに柔らかいものに包まれじきに温かさが戻ってきた。  どこか遠くで話し声がする。だけど誉の周りは水の膜に覆われたように遮断され、はっきりとは聞こえない。聞こえなくてもいい気がする。今はただこの静かな空間でまどろんでいたい。  波打ち際まで浮上しそうになった意識がまた深くまで潜り込む。  そこへ邪魔するように誉を覆う水が振動を起こした。今度は誰かが直接呼びかけているような気がするものの、水の膜に覆われた誉には何と言っているのか分からない。分かったとしてもこの膜からは出られないだろうし、抜け出す気もない。     
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