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授業も終わってしまったので教室に戻ろうと挨拶をすると、保健医は書類整理をしていた手を止めてやって来る。顔色と熱などのチェックと簡単な問診をし、誉の肩をぽんぽんと叩いた。
「寝不足と疲労が溜まってたのかな。勉強も大変だけどほどほどにね」
おだやかな微笑みで労られ、誉は微笑み返す頬が引きつる。
「はい。気を付けます…」
そう言って保健室を後にした。
すかさず、いつ寝不足になるほど勉強したんだと半目になりながら己に突っ込む。
寝不足になる心当たりはある。
久住といる時間が増えた分だけ思い返す出来事が増えた。なんてことはない日常のひとこまひとこまを切り取って、自分なりに頭の中で再編集する。ちょっと嬉しかったことをリピート再生して、たまに脚色したりもする。そのうち切り取ったひとこまから、映画のように一大ストーリーが完成されたりもした。
(我ながら、どーしようもないな)
そんなソロプレイのごとく妄想しながら布団に入るものだから、なかなか寝付けやしなかった。
目が冴えて本当にどうしようもなくなったとき、久住を想いながら本物のソロプレイに興じたこともあった。自分の昂ったものから精を吐き出した途端、さらに罪悪感に打ちひしがれて明け方近くまで眠れないこともあった。
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