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 どうしてこうなった、と頭を抱えながら蹲る。久住が怒っている理由がそこにあるのだろうかと必死で考えてみるが、答えが出ない。そもそも久住はいつから怒っているのか。いつから不機嫌になったのか。隠し事とは一体何を指しているのか。  誉は最近の出来事から順に思い返していき、一つだけ引っ掛かりを覚えた。 「もしかして…最近俺の態度が変だったから、そのこと?」 「…俺は、隠してることを言えと言ったよな」  久住は無表情のまま凭れていた扉から背を離し、一歩、また一歩と誉との距離を詰めてくる。  どうやら地雷を掘り当ててしまったらしい。肉食動物の中でも猛獣類のような獰猛さが久住に垣間見えて、草食動物だと自負している誉はその場で竦み上がった。  久住との距離が近づくにつれ、精神的圧迫感で押し潰されそうになる。 「それは…」  苦し紛れに口を開いたものの、言えるわけがなかった。久住が好きで、寝ても覚めても久住のことを考えて、挙げ句にオカズにしているなどと。  いくら脅されようが何されようが、言ったら久住との蜘蛛の糸ほどの繋がりだって切れてしまう。それだけは絶対に嫌だった。  一度床に視線を落とし、誉は意を決して顔を上げると、久住も同じようにしゃがみ込んでいた。顔の近さに驚いて仰け反れば、誉はバランスを崩して床に尻もちをつく。 「なにやってんだ」  久住は誉に手を貸しながら引き起こせば、ちらりとスマホに目を向けた。 「もう一分切ってんぞ」     
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