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それでも誉は、好きな相手には好きになってほしい。心ごと大事にされたい。それが叶わない相手に、気持ちを知られるのが怖かった。肌と肌を触れ合わせれば、すべて伝わってしまうような気がした。
久住は舌打ちし、誉の手を振りほどくとかぶりつくように鎖骨を噛んだ。痛みに小さく呻くと噛み痕を熱い舌が労るように舐める。
大きく温かい手が遠慮なく這い回り、淡い色をした粒に触れる。途端につんと硬く尖り、久住が執拗に撫でたり摘んだり弄ぶ。もう片方を、鎖骨を舐めていた舌が這ってきて、口に含んで舌で転がしたり軽く歯を立てられた。
瞬間、誉の触れられてもいない下半身に甘い痺れが広がり、唇を綻ばせた。
「ふっ…、ぁ…っん」
必死に声を漏らさないよう噛みしめていたのに、溢れた声は聞くに耐えないほど濡れたものだった。
ベルトと、ズボンの前をすでに寛げられていたそこは、はしたなく膨らんでいる。それを身を捩って隠そうとすれば下着ごとズボンを引き抜かれた。
誉は羞恥で赤くなる顔を隠したくて両腕で顔を覆った。直後動きを止めた久住だったが、気に入らなかったのか誉の両腕を顔から離し床に押さえつけた。覆い被さる姿勢は、息が止まるほど距離が近くて、目を逸らすこともできない。
「なんで…、抵抗しない!」
それだけ言うと久住は視線を逸らした。苦しそうに歪められた横顔をなす術もなく見つめていると、
「…おまえが悪い」
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