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電車を降りる。
改札を抜ける。
人を躱す。
横断歩道を渡る。
渋滞気味の道路を眺める。
落ち葉を踏む。
笑い声が聞こえる。
ショウウィンドウが目に入る。
ダウンジャケットが、──。
温かそうだと思ったときには、小さく舌打ちしていた。
心頭滅却し、極力寒さに関することから目をそらしていたのに、後出しじゃんけんで負けたときのような忌々しさを感じる。
毎日通うこの通りのショウウィンドウのことは分かり切っていたのに、何故か毎回目に入れてしまう。目をそらせばそらすほど、トルソーにコーディネートされたジャケットが目に入るからいただけない。
自分の意思を裏切る両目をぎゅっと瞑り、誉は大きく息を吐いた。
峰石誉は、この街路樹の並ぶ先にある松院高等学校に入学して二回目の冬を迎えた。
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