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何か斬新なアイデアや画期的なひらめきをと思ったが、男にとっては最も遠いものだった。
決められたことを誰よりもきっちり丁寧にやる。
それだけが強みだったが、このどうなるか分からない世の中においてはもっと他の能力が必要だった。
「自分の力で生きてみろ」
死に際に親にこう言われ、なんだかそれを実行しなければいけないような気がして独立した。
「ああ、父親があんなこと言わなければ。公務員に戻れるなら戻りたい」
安定を望んでいた息子は、改めて親を憎んだ。
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