夏休みが始まった

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夏休みが始まった

 「う、ええっ」  変な声が出た。えっと、今何が起きた?  綺麗な夜景見ながら歩いて、そこで…… え?俺今かっちゃんと、ちゅうした?彼女とのキスなら上等なんだけれど、相手はかっちゃんだった。  「本命」って何をかっちゃんが言ってんのか分かんない。  「目を白黒させてどうしたの?」  「えっと、あーーその」  あーーそのって、何言ってんの俺。  「面白いな、ひなチャン焦ってて。今のは挨拶代わりの可愛いもんでしょ。大人のキスを教えてやろうか?」  少しだけ離れた身体がまたそばに寄ってくる。慌てて一歩下がる……これ以上さがれない!  「いえっ、いえ、十分です。結構です」  かっちゃんは、いろんなことを教えてくれるけど、これは従兄から教わることじゃない気がしている。  「ひなチャン敬語になってる、可愛い」  じりじりと近寄られて、崖っぷちに立たされたみたいだ。二時間ドラマで刑事に追い詰められて、海に飛び込むか降参するしかない犯人の気分だ。ってかここ、海じゃねえし、俺犯人じゃねえ!  「か、かっちゃん、俺っ内緒にするから」  「そうだよね、内緒にしなくちゃだよね」     
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