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次の瞬間に両腕を直立不動の姿勢で左右に置いたまま、かっちゃんに抱きしめられた。あ、なんだか久しぶりにかっちゃんに、ぎゅってされている。女の子に抱き着かれるのとは違う、なんだか変な感じだけど嫌じゃない。
あれ、かっちゃん俺より背が低いんだ。今まで大きなお兄ちゃんだと思っていた従兄はいつの間にか俺より小さくなっていた。
「お前やっぱでかいな、背何センチ?」
「182センチってか、かっちゃん俺より低かったっけ?」
「ん?お前が中三の時には抜かされてたよ」
いつまでもかっちゃんに抱きしめられたままで、こんな会話をするのはどうかと思うけれど。
「陽向、俺はお前が好き。お前は俺の事嫌いか?」
「嫌いじゃない、好き」
「じゃあさ、俺のこと抱きしめてくれる?」
え?それとこれとは話が違う気がする。俺はシュウイチほど馬鹿じゃないからと、思ったけど。それでもかっちゃんの目を見ていたら、これを断ったら悪人になるような気持になった。
「じゃあ目つぶって、ぎゅってすればいいじゃん」
そう言われると、そうすればいいような気もしてくる。とりあえず、目を閉じて両手をそっと広げてみた。
かっちゃんがするりと腕の中に入り込んできた。大学生の従兄は、すっぽりと俺の両手の中に納まった。あれ、なんだこれ嫌じゃない。それよりなんだかほっとしたぞ、そんなことを考えていたら柔らかいものがまた唇に触れた。
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