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海辺で急接近
「ひなチャン、荷物準備してこいよ」
そう言われて、自分の部屋に戻った。水着とタオルと下着と。え、俺って普通に楽しそうに準備しちゃってるし、大丈夫なのかな、大丈夫だよね。
それから一時間後、かっちゃんの車に乗せられて海へと向かう事になっていた。
「かっちゃん、あのさ、今日なんだけど」
「何?ひなチャン」
「な、何でもない、腹減った」
「お前、家出る前に飯食ったばかりだろ。どんだけ食うんだよ」
どこに行くとも言われないまま、車が走り出して、昨日の事も聞く前に今に至っていて、もうどうしようもないくらい落ち着かない。何か話していないと、吐いちゃいそうだ。
駄目ってくらい自分がいっぱいいっぱいなのに気が付いた。それと同時にかっちゃんが、楽しそうに鼻うた歌っているのにも気がついた。大人の余裕ってやつなのか、何なの分からないけど、腹が立った。何だよ、昨日の事は単なる悪戯かよと思い出した。
「そこのコンビニでアイス買って、それとジュース」
これくらいの我がまま言ったって、きっと許される。昨日驚かせたお詫びにそのくらいしてくれてもいいはずだ。
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