家庭教師

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 とりあえず可もなく不可もない人生で中堅どころの私立大学へ進むつもりだった。けれど、かっちゃんは自分と同じ大学へ入れると、母ちゃんに約束していた。無理だろそれ。受けんの俺だよ、かっちゃんじゃないんだから。  「さて、数学はこのくらいにして英語に入る前に一休みするかな。ひなチャン、膝まくらして」  一休みするのは、俺じゃなくてかっちゃんなの?  「へ?俺がっ、す、するの?」  「ん、他に誰かいる?俺には見えないけど」  かっちゃんは大きく伸びをして、ベッドを指さした。  「か、かっちゃん?気持ちいいの?」  「柔らかくはないな、まあでも悪くもない」  つつっと腿の内側を人差し指でなぞられた。  「うぐ」  「お前、いつも変な声だすのな。もう少し色っぽい声出せよ」  それは無茶と言うものだと思う。これ何の時間だろ、何かの修行の時間かな。  「かっちゃん、腹減った」  腹の虫が鳴き出した、頭使ったから糖質不足だ。  「ひなチャン、可愛すぎかよ」  笑い出したかっちゃんに連れられて、ダイニングに降りた。昼飯と思しきものはなく、母ちゃんのメモと千円札が一枚置いてあった。  『牛丼なら二人分でもお釣りがくるはず』  「ひなチャン、作ってやろうか?成長期に牛丼じゃ足りねえだろう」  冷蔵庫の中身を確認して、さっさと準備を始めるかっちゃんに驚いた。本当に何でもできるんだ。こんだけ何でもこなせば女子にもモテるだろう、なのに何で俺?     
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