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ゴール直前
先物買いしたと言うかっちゃんは、投資だと言って勉強を教えてくれる。ガッコのせんせより分かりやすい、何が分かっていないか表情で明白らしく理解できるところまで戻って説明してくれる。たまに背中をつっと触るくらいの事しかないし、これって単なる家庭教師じゃん。
好きだと言われたのは、夏休みのスタートする直前でそこから始まったレースはどこがゴールなのか分からないまま遅々として進まない。
「何?花火見に行くだけだって」
「誰と?」
「いや、友達と。お前だってシュウイチ君とやらと、この前ゲーセン行ってたろ」
違う、シュウイチは恋愛対象じゃない。あ?俺の恋愛対象って女子のはずだよな。何でかっちゃんが他のやつと出かけるだけでイライラするんだろう。
「じゃあ俺も行く」
「何言い出すの?大学の友達とでかけるんだよ?」
「だって……この前買い物って出かけた後、かっちゃん首のとこに赤くなってた」
「へっ?お前なに言い出すの?」
「お子様だって分かるんだよ、そのくらい」
「ふーん、俺が他の男と出かけるのが嫌なんだ?それってどういう意味?」
「わっっかんないよっ!」
「何がどうして嫌なの?教えてよ」
「かっちゃんは、お、俺の事が好きなんだろ!」
「そうだけど、ひなチャンも俺の事が好きってこと?そうなの?行って欲しくないなら行かないよ」
「……多分、好きかも?」
「多分ってなんだよそれ」
かっちゃんが、声を立てて笑った。そして真剣な顔に戻って聞いてきた。
「ひなチャン、俺とセックスできる?」
そう聞くかっちゃんの目元は少し赤くなっていて、何故か瞳が揺れている。その顔見ていたら脚の間にあるものが硬くなるのが分かった。
「かっちゃん、俺……」
「俺の部屋に来る?家、誰もいないよ今」
「……」
今までこの家に上がるのに今日ほど緊張したことはない。耳がジンジンするくらい自分の心臓の音が身体の中で反響していた。
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