かっちゃん

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かっちゃん

 かっちゃんは俺の従兄弟で、兄貴みたいなもん。春から東京の大学へ行く。寂しくなるけど、すぐに帰れる近い距離。これからもきっと変わらない、そう思っていた。  部活が予定より早く終わったあの日、いつもの通りかっちゃんに遊んでもらおうと隣の家を訪ねた。おばさんは出かけているのか、なぜか玄関鍵が空いてるのに誰もいなかった。  玄関に靴あるし、かっちゃんはいるはず。静かなのは、部屋でエロビデオでも見てんだろと思って飼って知ったる従兄の家。脅かしてやろうと足音を忍ばせて二階に上がった。  階段の途中で、誰かの声がかっちゃんの部屋から聞こえたような気がした。「あれ?誰か来ているのかな」そう思って少しだけ開いていたドアから部屋の中を覗いた。  え、何してんだよ?  床に座ってベッドに背中を預けたかっちゃんは、男の肩に顔をうずめている。かっちゃんの足の間にうずくまったその男の手は、はだけたかっちゃんのシャツの中に差し込まれている。 えっ、抱き合っている?何してんだろ?もうパニックだった。     
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