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ひなチャン
俺のひなチャンは、隣の家に住んでいる二つ下の従弟。もの心ついた時には横に居るのがあたりまえで、食べてしまいたいくらい可愛い。ちょこちょこと後ろから追っかけて来て、転んでも泣かないで頑張って。もう俺のお気に入りだった。
自分の恋愛のベクトルが友達とは違う方向に向いているんじゃないかと気が付いたのは小学校五年生の時だった。担任の黒岩先生が、優しく頭を撫でてくれた時。大学出たばっかの足の速い先生でとても良く笑う人だった。その先生に頭を撫でられると体の違うところが反応した。
だけど、可愛いひなチャンには知られたくなくてずっと内緒にしてた。あの日、もしかしてと思ったけれど、やっぱり見られていたんだと知った。
必死な顔で、誰にも言わないという可愛いひなチャン。
「すっごい、美味しい!母ちゃんの飯より数倍美味い!」
目をきらきらさせて本当に美味しそうに食べる。ひなチャン、そんなに喜ばれると嬉しくなっちゃうよ。
「さて、陽向君。ここで質問です」
「……?」
「なぜ、ここで食事をしているのでしょう?」
「えっと、かっちゃんの秘密を誰にも言わないように?」
「んー、惜しい!」
「惜しい?」
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