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一年前の夏
俺のひなチャンが可愛い弟だったのは、中学二年生までだった。雨後の筍か?と、言いたくなるほど日に日に伸びていって、気が付けば俺よりでかくなっていた。
「かっちゃん」と呼ぶ声が可愛い声がピヨピヨと鳴くひよこから、掠れたちょっとぞくぞくする声になった。
これはまずいぞと気が付いてはいたけれど、決定打は一年前の夏の午後。
隣の家に桃を届けろと言われて、おばさん家のダイニングテーブルに言いつけられた桃置いて帰ろうとした。そしたら二階で勉強でもしてるか、部活に行ってるだろうと思っていたひなチャンが、リビングのソファで昼寝中だった。
暑かったから仕方ないんだろうけれど、下着一枚で無防備に腹筋さらして寝ている方が悪い。つい触りたくなってしまったとしても、俺のせいではなかったと思いたい。
そっと、本当にそっとつついてみたかっただけ。
つんと、つつくとひなチャンがくすぐったそうに体を捩った。動いた瞬間にふわりとなんだかいい香りがした。その瞬間に頭の中がスパークして真っ白になった。もうどうしようもないくらい、ひなチャンがかっこよく見えてしまった。
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